ここは福岡にある高宮駅周辺の廃墟。
西鉄ストアからボンラパスまで赤レンガで統一された過疎地帯。
浪人生時代は毎日通ったこの道も、
今はほとんど縁の無い場所だけど、久しぶりに訪れてみた。
ここは駅周辺であるにも関わらず、
午前9～11、午後2～4の時間帯だと人の気配はほとんど無い。
そこで赤と黒のチェックシャツ、ダボダボのチノパン、
黒のハイテクスニーカー、紺のリュックを背負い、
ボサボサ頭のさえない男がこちらをチラチラ見ている。
・・・店のガラスに映った自分の姿だった。
僕は缶コーヒーを買い、椅子に座って高宮駅を眺めていた。
鳩が糞を垂れていった。
ベチャッと鈍い音を立てて、白い液体が地面を汚した。
なんだか今飲んでいる缶コーヒーにミルクが欲しくなった。
高宮駅まで来ると「駐輪禁止」と書かれた柵の周囲に
自転車が数台並んで放置されていた。
福岡は日本語じゃないどこぞの国の言葉をしゃべる人が多いし
そんな彼らが字を読めないのは当然のことなのだろう。
・・・この世に救いは無いのか、僕は肩を下ろしながら、
鳩の糞で白く染まった、ヒビ割れ色あせた赤レンガの高宮駅を後にした。
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